星降る丘から健康便り:高齢者の夜間頻尿と多尿
皮膚・排泄ケア 認定看護師 石濵 慶子さん
睡眠を目的として床に入ったあと、目覚めて床から出るまでの間に、排尿回数が2回以上になると、慢性的な睡眠不足を引き起こし、日常生活に支障をきたし、生活の質が低下するといわれています。
特にご高齢の方では、暗い中トイレに行く回数が増えるので転倒し骨折する可能性が高くなります。また、寒い季節に好発する「ヒートショック」といって、比較的暖かい部屋から温度の低いトイレや洗面所に移動することで、急激な温度差で血圧の乱降下による脳卒中や心筋梗塞など心臓病の発病リスクが高くなります。
夜間の頻尿の原因として大きく影響を与える状態は、夜間の尿量が多いこと(夜間多尿)であるといわれています。通常、尿量を少なくする作用を有するホルモン(抗利尿ホルモン)が昼間は分泌が少なく、夜に多く分泌されるという日内変動を有しますが、夜間頻尿の場合は夜間の抗利尿ホルモンの分泌低下が原因であることが多いといわれています。
そのほか、循環器疾患、腎機能障害、呼吸障害などの疾患も関与しています。また、水分の過剰摂取、カフェインやアルコールの摂取、下肢のむくみなど、生活習慣に関係することも関与していることも多いです。 夜間の頻尿や多尿で悩んでいる方は、1日24時間の間の排尿回数、1回排尿量、水分摂取量を3日間記載してみましょう。これは排尿日誌といって重要な検査データになります。
気になる方は、記載して、かかりつけ医の受診の際に持参し、ご相談ください。