枚方公済病院シリーズ:腸ヘルニア
腸の一部がお腹の中の小さなくぼみや隙間にはまり込んでしまう状態を腸ヘルニアと言って、食物通過が障害されて腸閉塞になったり、腸が壊死(えし)して命に関わることもあります。「ヘルニア」とは「本来ある場所から飛び出している状態」を表す言葉で、椎間板ヘルニアなど、ほかの疾患名でも使われています。
胃・小腸・大腸はお腹の中にあって一部は背中側に固定されていますが、大部分は固定されずに動き回って食物を消化して先へ進める働きをしています。お腹の内壁の弱い部分に小さなくぼみができたり、血管や神経などの通り道に隙間があるとそこに腸がはまり込むことがあります。はまり込みやすい場所はいくつかありますが、最も頻度が多くて有名なのが鼠径(そけい)ヘルニア(いわゆる脱腸)です。お腹と足の境目である鼠径部には睾丸(こうがん)とお腹をつないでいる精索(せいさく)という構造物の通り道があって、その隙間に腸がはまり込みます。圧倒的に男性に多く、子どもから大人まで見られます。
はまり込んだ腸を外から押さえてお腹の中に戻るならとりあえずは問題ないですが、固定されて戻らない時(嵌頓(かんとん)状態)は腹痛・嘔吐・発熱などの症状が出て、腸閉塞や腸壊死の危険があり、緊急の手術が検討されます。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
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