枚方公済病院シリーズ:肺非結核性抗酸菌症
前回お話した肺結核を起こす結核菌が含まれる「抗酸菌」という種類にはほかにも肺感染症を起こす菌が幾つかいます。これらの肺感染症は、肺結核と全く異なる病状と経過をたどり、まとめて肺非結核性抗酸菌症と呼ばれます。2014年の推定の新規発生数は10万人あたり14・7人/年で肺結核を超えたとされ、難治性なので有病患者数は増加しています。
肺結核との大きな違いは3点です。1つ目は人から人へは感染しない、2つ目はすぐには重症にならない、3つ目は薬が効きにくいことです。非結核性抗酸菌は普段は土壌や水中にいて人へ感染します。確立された感染予防法はなく、原因不明ですが中高年女性に多いです。感染して肺に病変ができても初期は症状なく、たまたま撮影した胸部レントゲンで発見されることが多いです。
診断にはCT所見と喀痰検査が有用です。数年から数十年かけて病変が進行し、症状としては咳、痰、喀血、微熱、全身倦怠、体重減少、呼吸苦などが出てきます。
感染しても進行が緩徐で他人に感染しないので慌てないのですが、難治性で長年付き合う必要があり、症状が出だすとなかなか厄介で、医療機関での長期対応が必要です。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
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