目のクイズQ&A 平成18年4月1日号
「目は口ほどにものを言い」とはよく言ったものです。今回は、目で分かる全身病についてお話しようと思います。
先日、「片方の目がこのところ見にくくなってきました」と言って受診された方がおられました。眼底検査の結果、片方の視神経の色が蒼白であったため、MRIを撮って調べたところ、脳腫瘍が見付かり、手術する事になりました。また、別の患者さんは、ぶどう膜炎という病気にかかり、その原因を調べるために血液検査をしたところ、重症の糖尿病を気付かずに放置していた事が分かりました。このように、目の症状から全身のほかの病気が見付かる事もまれではありません。
最近、生活習慣病としての高血圧・高脂血症が増えています。これらは病期が進むと、全身の血管が細く硬くなり、脳梗塞や脳出血を引き起こす危険が高くなります。しかし実際に血管の状態を直接目で観察する事ができるのは、人間の体の中で、眼底が唯一の場所なのです。
そのため、高血圧・高脂血症のコントロールの状態を推測するのに、眼底検査が行われます。眼底検査の結果、動脈硬化性変化が強い場合は、より厳重な血圧のコントロールが必要となるわけです。
そのほか糖尿病でも、定期的な眼底検査は重要です。糖尿病のコントロール状態が悪かったり、逆に急激な血糖値の降下でも、眼底出血が引き起こされます。深刻な視力障害に陥る事も少なくありません。
このように、いろいろな病気の診断・治療の一環として、「目は体の窓」としての役割を担っていると言えるでしょう。
きたの眼科:北野保子院長
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