枚方公済病院シリーズ:肺結核
肺結核は結核菌の肺感染症でかつて戦中・戦後に「国民病」として恐れられました。有効な治療薬の開発で現在は早期発見・早期治療で根治が望める状況で、患者数も随分減りました。しかし、いまだに多くの人が新規発病する(人口10万人あたり約13人/年)見過ごせない病気です。
結核菌は人から人へ咳やくしゃみを介して感染します。結核菌に感染しても発病するのは一部(1~2割)で、多くは免疫力で抑えられて少数の結核菌が体の中に潜んだ形になるようです。しかし高齢になって免疫力が落ちてから結核菌が増殖して発病することがあります。誰もが既に感染しているかも知れず、いつ発病してもおかしくありません。
発病しない限りは他人に感染させることはありませんが、発病すると咳・痰・血痰・発熱・倦怠感などの症状が出て他人に感染させる恐れがあります。2週間以上の咳が続く場合は肺結核も疑われ、特に血痰の症状はがんの可能性も含めて精査が必要です。
治療しないと必ず命に関わり、治療すれば効果が十分期待できる点で、新型コロナ感染症と異なります。治療と他人への感染に関して特に早期発見・早期治療が大事で、診断には胸部レントゲン・CT・喀痰検査が有用です。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
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