吉田医療新聞:お薬による心不全治療 (薬物療法)について
9月に入っても残暑の厳しい毎日が続き、新型コロナ感染予防に加え熱中症対策がまだ必要です。
さて今回は「お薬による心不全治療(薬物療法)」についてお話します。心不全で最もよく使われる薬は利尿剤です。心不全になると体内に水分と塩分が過剰にたまる結果、むくみや息切れといった症状が生じますが、利尿剤は余分な水分と塩分を尿として排出、うっ血を改善し心不全の症状を軽くしてくれます。
次によく使用されるのは心不全ホルモンを抑える薬です。心不全になるとアンジオテンシン、アルドステロン、カテコラミンといったホルモンが増加し、水分と塩分がたまりやすくなるため、心不全ホルモンをブロックする薬を使用します。具体的には「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」、「アルドステロン拮抗薬」、「ベータ遮断薬」といった薬をそれぞれの患者さんに合わせて調合します。
さらに最近ではアンジオテンシンを阻害するだけではなく、心臓を保護する作用のあるナトリウム利尿ペプチドを増加させる作用も併せ持つ「エンレスト」という新薬も登場し、治療の選択肢が増えてきました。心不全治療における薬物療法はこれからもますます進歩していくことが予想されます。
毅峰会 吉田病院(枚方市北中振3-8-14)
TEL 072-833-1831
循環器内科部長 木戸 淳道
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医・施設代表医