吉田医療新聞:心臓弁膜症による 心不全・突然死
京阪神における新型コロナウイルス感染症への緊急事態宣言が解除され少しずつ日常に戻りつつある今日この頃です。しかし感染第2波を見据え、気を緩めずに「3密」を避ける慎重な行動を継続しましょう。
さて今回は「心臓弁膜症」による心不全についてお話します。心臓弁とは心臓の4つの部屋の出口にある「逆流防止の扉」なのですが、その扉の開閉が正しく機能しない状態を「心臓弁膜症」といいます。具体的には心臓弁の開きが悪くなって血液が流れにくくなる「狭窄症」と、弁がうまく閉まらなくなり血液が逆流してしまう「閉鎖不全症」があり、いずれも「心不全」の原因となります。4つの弁のうち異常を起こしやすいのは、常に大きな圧力がかかる僧帽弁と大動脈弁です。加齢とともに僧帽弁は閉鎖不全症を、大動脈弁は狭窄症を起こしやすく、これらの弁膜症は重症となれば、「心不全」だけではすまず、「突然死」の要因にもなるため早期発見・早期治療が大切です。
今までは悪くなった弁を取り換える手術しか治す方法がありませんでしたが、近年これらの弁膜症もカテーテル治療で治る時代ですので、「動悸」「息切れ」「失神」といった「心不全」を示唆する症状がある方は恐れずに医療機関で精密検査を受けましょう。
毅峰会 吉田病院(枚方市北中振3-8-14)
TEL 072-833-1831
循環器内科部長 木戸 淳道
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医・施設代表医