枚方公済病院シリーズ:「貧血」について
俗に「貧血」というと一時的な血圧低下で顔色不良・気分不良・時には意識消失を伴う現象(脳貧血とも言われる)を意味することもありますが、医学的には赤血球成分が減少した状態を言います。
赤血球成分量はヘモグロビン濃度やヘマトクリット値(血液のうち赤血球成分が占める体積率)などで示され、これが減少すると酸素の運搬能力が低下して、全身倦怠・めまい・立ちくらみを自覚したり、心臓の負担が増加して動悸・胸痛・呼吸苦を自覚することもあります。
貧血の原因は出血が最も多く、圧倒的に女性に貧血が多いのも月経時の出血のためで、特に子宮筋腫や内膜症があると出血量が増加して貧血が悪化します。
多くの出血は目で確認できたり、体の一部が腫れて気が付きますが、盲点になるのは消化管出血です。はっきりした便の変色(黒や赤)や吐血が無い限り気付かれずに貧血が進行していきます。
出血以外の原因では赤血球を作るために必要な鉄・ビタミンB12・葉酸などの摂取不足や吸収不良であったり、血液疾患を発症して赤血球を作れなくなっていることもあります。
貧血の原因は悪性疾患も含めて多種多様です。貧血の進行があれば医療機関に相談しましょう。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
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