枚方公済病院シリーズ:過換気症候群
体の酸素が不足しているわけでもないのに、不安や緊張、ストレスから呼吸苦を自覚して呼吸困難に陥ることがあります。必要もないのに過剰に呼吸(換気)をしてしまう過呼吸状態で、過換気症候群と言われます。
単に呼吸をしすぎているだけですが、かなり苦しくて身動きが取れず救急車で病院に搬送されることが多いです。体の酸素が増え過ぎますがこれは問題なく、むしろ二酸化炭素が失われることが症状につながります。血液がアルカリ性に傾き、手足のしびれ・筋肉の硬直が起こって手足が動かせなくなり、余計に不安が強くなって呼吸苦が強くなるという悪循環を来します。
血液の酸素と二酸化炭素濃度・pH(酸塩基平衡値)・過剰塩基量などを測定して診断がつきます。安心できるよう言葉掛けをしながら、意識してゆっくり呼吸をしてもらったり、鎮静剤を投与して治療に当たります。通常は問題なく数時間以内に治まります。
繰り返して発症する方も多いですが、問題ないことを理解して安心してもらうことが大事で、慣れれば自己対応もできます。ストレスの原因が、胆のう炎からの腹痛や狭心症による胸痛など他疾患の症状であることもあるので原因の評価と対応も大事です。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
TEL 072-858-8233