網膜静脈閉寒症 平成17年11月1日号
網膜静脈閉塞症、難しそうな名前ですね。でも、眼底出血という病名なら多くの方が耳にされたことがあるでしょう。実は、この眼底出血の原因として、糖尿病網膜症とともに大きな比率を占めているのが網膜静脈閉塞症なのです。ただし、眼底出血だけでなく、そのほかにもいろいろな病気を目に引き起こすので、今回はこの病気についてお話します。
網膜静脈閉塞症とは、文字通り網膜の静脈が詰まる病気です。原因としては、高血圧や動脈硬化が挙げられます。静脈が詰まると、そこを流れていた血液の行き場がなくなり、あふれ出します。これが眼底出血や、網膜の腫れを引き起こすのです。
症状は、どの部分の血管が詰まったかによって大きく異なりますが、出血した部分に相当する視野が欠け、網膜の中でも視力にとって一番重要な黄斑部に出血や腫れが及ぶと、視力が低下します。また、発症後3か月から1年以上たち、症状が落ち着いてくると、硝子体出血や緑内障、網膜剥離などの合併症が引き起こされる場合があります。
治療としては、まず閉塞した血管に血流を再開させるための薬を投与します。これに続いて出血や腫れをできるだけ早く消失させるため、レーザーで網膜を焼く場合もあります。
また、再発防止のために血液をさらさらにする薬をしばらく飲んでいただくこともあります。症状が落ち着き、慢性期に入ると、治療の目的は合併症の予防に移ります。合併症発症の可能性はないか定期検診を行い、同時に、静脈閉塞が起きる最初の原因となった高血圧などの病気を治療して、再発を防ぐことも大切です。
きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
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