脳卒中について6~不整脈と脳梗塞~ 平成24年2月15日号/清水 義臣先生
日本では毎年新たに25万人が脳卒中を発症していると推計されています。その中でも近年、不整脈を原因とする脳卒中(脳梗塞)が増加しており、これは高齢者の増加に伴い「非弁膜症性心房細動」という不整脈が増えていることが原因です。一旦発症すると重い麻痺や言語障害、意識障害などの後遺症を残すことが多く、「心原性脳塞栓症」と呼ばれます。心原性脳塞栓症のほとんどは心房細動が原因であり、脳梗塞全体の約3割を占めています。心房細動の患者数は今後も増え続けると予測されており、現代医療において重要な課題であると言えます。
治療は発症3時間以内の超急性期にはrt-PAという薬を使用する「経静脈的血栓溶解療法」の良い適応となります。この治療は当院脳卒中センターでも施行可能であり、効果を認めた場合は症状が劇的に改善します。慢性期再発予防には「経口抗凝固療法」が選択されます。不整脈自体の治療や後遺症に対するリハビリテーションも重要です。
最近では新たな経口抗凝固薬も開発されており、今後治療法の発展が期待される脳梗塞であると言えます。
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641
医学博士・部長 高橋 務先生
医学博士・副院長 福永 隆三先生
医学博士・副院長 救急部長 森川 和要先生
医学博士・脳卒中内科 吉川 健治先生
部長 本田 雄二先生
内科部長 清水 義臣先生
医長 杉浦 史郎先生