枚方公済病院シリーズ:急性膵炎(きゅうせいすいえん)
突然に上腹部痛を自覚する重篤な病気に急性膵炎があり、重症になると命に関わります。
膵臓は胃の背中側にあって三大栄養素のたんぱく質・脂肪・炭水化物を消化する複数の酵素を作って膵液として十二指腸に分泌しています。この膵臓に様々な原因で負担がかかって問題が起こり、本来は食物を消化するはずの酵素が膵臓自体とその周辺の組織を破壊し、炎症を起こします。膵臓の酵素は食物を溶かす訳ですから強力です。病変が膵臓周囲に大きく広がれば全身に影響が及んで命に関わります。
初期症状はみぞおち(上腹部・胃の辺り)の痛みで背中まで痛むことがあります。痛みの程度は軽い場合から激痛まで様々で吐き気・嘔吐・腹部膨満を伴うこともあります。原因はアルコール常飲が4割近くで最も多く、次に胆管にある結石があり、原因不明な場合も2割ほどあります。
治療は入院で絶飲食(膵臓を刺激せず休める)で多めの補液、酵素阻害薬や抗菌薬などを投与して落ち着くのを待ちます。重症で全身状態が悪化すれば集中治療として呼吸管理や循環管理が必要です。
食べ過ぎや下痢や便秘で日常経験する痛みとは明らかに異なる腹痛を自覚した時は、医療機関に相談にいきましょう。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
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