性感染症STD 3 淋菌感染症 平成23年5月1・15日合併号
淋(りん)菌感染症は淋病あるいは淋疾とも言い、前号でお話したクラミジア感染症と並んで性行為感染症STDの代表的な病気の一つです。淋菌は高温や低温に弱く、特殊な環境でしか生存できないため、日常生活で感染することはめったになく、ほとんどが性行為により感染します。主な感染部位は男性では尿道、女性は子宮頸管でクラミジアと共通しており、従って両方に感染していることもまれではありません。また、最近の性行為の多様化により、咽頭(のどの奥)や直腸感染例が増えているとされています。 クラミジアの場合、男女に不顕性感染(感染に気付かない)が多く見られますが、淋菌感染症の場合は、男性に特徴的な症状、つまり、灼熱感を伴う強い排尿痛と、尿道から黄色の膿のような分泌物が見られます。ところが、パートナーである女性では不顕性感染が多く、このようなケースでは男性患者さんを治療しても高い確率で再感染が起こりますので注意が必要です。
この病気は適切な抗生物質の治療でほぼ100%治癒が可能ですが、淋菌は抗生物質に対し容易に耐性を獲得する、つまり薬が効かなくなるため、現時点で淋菌感染症に推奨されているのは、ほんの3種類の注射薬だけです。さらに、これらの注射薬も感染部位によって効果が違うため、注意が必要です。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
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