慢性腎臓病CKD 6 平成23年1月1・15日合併号
今回も引き続き慢性腎臓病CKDのお話です。
前回、治療の基本は、生活習慣の改善と食事療法で、特に肥満の解消や禁煙、塩分制限などが重要とお話しました。これらのほかによく聞かれることは「アルコールは一切だめか?」や、「スイミングスクールはやめた方が良いか?」という、飲酒や運動に関する質問です。答えは、「適度な運動やたしなむ程度の飲酒はOK」です。
日本腎臓学会が作成したCKD診療に関するガイドラインにも、適正飲酒量は男性で一日にエタノール量として20~30g以下となっています。これは大体、ビールだと中瓶1本、日本酒だと1合くらいです。女性はこの半量と考えてください。ただし、多量の飲酒はCKDを悪化させることも覚えておいてください。
運動に関しては、以前は運動により蛋白尿が増加したり、血圧が上がったりすることから、否定的な意見もありましたが、これらの変化はいずれも一時的なもので、今では30分程度の中等度の運動は、むしろ推奨されています。
ここで言う中等度の運動とは、例えば家事全般、早足でのウォーキング、犬の散歩、水中歩行などを指します。もちろん、過労は避けるべきで、ご自分の体力に合わせて無理なく行える範囲が良いでしょう。つまり「適度な運動やたしなむ程度の飲酒はOK」なのです。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641