心と膀胱のはなし2 平成21年7月1日号
前回、尿意すなわち「トイレに行きたい感じ」が、その時の精神状態や心理状態の影響を強く受けることと、この尿意に心を占領され、何回もトイレに行かないと気が済まなくなってしまう状態が「心因性頻尿」という病気であることを話しました。
実際に頻尿を訴えて受診される患者さんの中には、「心因性頻尿だな」と思われる方が少なくありませんが、その診断は簡単ではないのです。
心因性頻尿の診断は、いわゆる除外診断という方法で行われます。除外診断とは聞き慣れない言葉ですが、日常の診療現場ではよく用いられます。 すなわち、何らかの症状を持った患者さんが受診された時に、その症状の原因として考えられる病気について、問診や検査で順番に吟味していき、それらが否定されていく中で否定し得ずに残った病気があれば、それを最終診断とするわけです。 この手法は容易ではなく、あくまで専門家が行うべき方法ですが、実は皆さんがご自分で行い、心因性頻尿についてある程度の目途をつける方法があります。
その一つは、「尿が近くなる場面」について自分で調べてみることです。頻尿の原因が膀胱や尿道の異常によるものであれば、その異常は時間帯に関係なく存在するはずなので、昼夜を問わず尿が近くなくてはいけません。 心因性頻尿の大きな特徴は、「目が覚めている時には尿が近いのに、睡眠中には異常が見られない」ことです。「心の作用」すなわち、意識が頻尿を引き起こすので、眠っている間は平穏無事なわけですね。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
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