「ピンポン玉」となすび1 平成20年6月1日号

 今回から新シリーズが始まります。見出しの「ピンポン玉」と「なすび」の話とは、一体何でしょう?
 「骨盤内臓器脱」という病気についての話で、なぜ「ピンポン玉」と「なすび」が出てくるのかは、おいおい説明してまいります。
 「骨盤内臓器脱」とは、高齢女性に多く見られる病気で、簡単に言えば子宮や膀胱が下がってしまう状態を指します。女性の骨盤には前方に膀胱と尿道があり、その後ろに子宮と膣が。最も後ろに直腸があります。若い時の子宮は幾つかの靭帯(強い紐状の組織)で上方へしっかりと引き上げられており、さらにその子宮が膀胱や直腸を引き上げているため、骨盤内の臓器は安定しています。  しかし、妊娠出産や加齢に伴うホルモン状態の変化で、靭帯が弱くなると、安定性が失われて骨盤内の内臓が下がり始めます。肥満が加わると、この状態はひどくなります。
 骨盤内の臓器が下がると最も弱い部分に飛び出しますが、膣がそれに相当します。最も強く下がる臓器も人それぞれです。「骨盤内臓器脱」の中でも、膀胱が強く下がって膣から飛び出した状態を「膀胱瘤」、子宮が下がった状態を「子宮脱」、直腸が下がって膣から飛び出た状態を「直腸瘤」と呼びますが、これらの中で、泌尿器科に直接関係するものは「膀胱瘤」です。
 実は「膀胱瘤」の患者さんは、ご自分の症状を「ピンポン玉のようなものを触れる」とか「ピンポン玉が挟まったような感じがする」と表現されることが多いのです。では、「なすび」とは?それは、次回のお楽しみです。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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