こんな時は、急いで受診を! 平成17年2月1日号
今日は、眼科で急を要する病気についてお話しします。
昨年のことですが、「今朝1時間ほど前、朝ごはんの用意をしていたら、突然目が見えにくくなったんです」と言われて来院された患者さんがおられました。眼底を見ると、血管の一部が、白い固まりによって詰まっているようです。網膜動脈閉塞症という病気が最も考えられました。これは、網膜の血管が血栓(血の固まり)によって詰まり、急激に視力が低下したり、視野が狭くなったりする病気です。特にこの方の場合は、過去に心臓の人工弁移植手術を受けておられたので、この血栓ができやすい状態でした。すぐに眼のマッサージや、眼圧を下げる点滴を施し、後は血栓を溶かす点滴を約1週間、受けていただきました。先日来院された時にはうれしいことに、詰まっていた血栓はなくなり、見え方も回復しておられました。
眼科医になり15年以上になりますが、この病気で回復された例は本当に少ないのです。というのは、血管が詰まってから、1~2時間経過すると、網膜が死んでしまい、元に戻らなくなるからです。今回は、異常を感じてすぐに来ていただけたことが、功を奏しました。ちょっと調子が悪いなぁと思っても、ついつい放っておくことがありますよね。でも、病気によっては、それが命取りになることもあるのです。
残念ながら、何の前触れもなく、突然起こることが多いのですが、中には発症前のある時期、網膜の瞬間的な虚血(血が供給されなくなること)で、ほんの数秒間だけ眼の前が暗くなるといった前駆症状を伴う場合もあります。そんな時は、できるだけ早くお近くの眼科を受診してください。
きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
枚方市中宮西之町15-18-101 TEL072-890-2929