【星降る丘から健康便り】緩和ケア⑤からだと心、多様なアプローチを
痛み以外にも様々な症状ががん患者さんの生活に影響します。緩和ケア科ではまず少しでも取り除ける要因がないか、負担の少ない検査で調べた上で治療を行います。例えばお腹の張りや排便の停滞については、がんの直接的影響、併発する内臓機能異常、腹水などの二次性病態、薬の副作用、心因反応など、関連要因を推察し、個々の改善を図ることで少しでも体が楽になるよう努めます。
患者さんの多くは食欲が落ち、異化亢進という代謝状態も加わって痩せてしまうのですが、無理に食事をすすめたり、過度の静脈栄養を実施したりするのは、逆に熱や痰、浮腫など好ましくない症状を増やすこともあり、要注意です。
一方、病状によっては補助栄養摂取や点滴が効を奏することもありますので、食生活の詳細と医療処置に対するご希望を確認しながら最善の方法を選びます。
何も楽しめない、物事に集中できないなど、心のつらさの多くは、がんにより将来の希望を絶たれたように感じて生じる自然な心の反応で、特定の精神疾患によるものは少数です。抗うつ薬や抗不安薬服用を要する場合もありますが、まず、つらさを自分で言葉にし、聴いてもらうことが大切です。
当院では9月より「がん患者・家族の心のケア外来」を開設し、専門医師が患者さんやご家族の心の苦痛を和らげるよう取り組んでいます(現在院内紹介患者のみ対象)。
次回が最終回です。
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緩和ケア科主任部長 塚原 悦子先生
日本ペインクリニック学会認定専門医 日本緩和医療学会暫定指導医 日本麻酔学会麻酔指導医
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641
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