透析色々 平成20年11月15日号
医学の進歩が著しい現代において腎不全が原因で命を落とすことは極めてまれなことです。これは透析療法の進歩によるところが大きく、特に日本は世界でもトップクラスの水準を誇っています。日本では透析患者が年々増加しており07年には27万人を超えました。
透析には血液透析(HD…皆さんが言う〝透析〟ですね)と、腹膜透析(P
D)があります。年々増加している透析患者のほとんどがHDですが、十数年前と比べてHDの技術が安全かつ効率的となっているからです。
HDとPDにはそれぞれ特徴があります。HDは専用の機械を用いて血液を直接浄化する方法で、時間と回数が少なく済みますが専門の医療機関でしか行えません。PDは基本的に自分でする透析で、おなかに専用のチューブを入れておけばどこでも行うことができます。ただ大きな問題点として5~10年で中止する必要があります。おなかに入れた透析液により腹膜が傷害されて硬化性被嚢性腹膜炎を発症する危険性が高いからです。
腎移植の少ない日本においてはPD中止後はほとんどがHDに移行します。このようなことを聞くとHDが良いように思うかも知れませんが、最初にHDを始めた症例よりPDからの移行例の方が生命予後が良いと言われており、PD firstという考えでPDとHDの両方を行う施設も増えてきました。透析が必要と言われた時はよく主治医と相談してください。
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H10年近畿大学医学部卒業、H20年大阪大学医学系研究科大学院卒業
診特定医療法人 三上会 総合病院 東香里病院
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