【星降る丘から健康便り】緩和ケア④ レスキューは早めに

がんの痛みに対しては、世界保健機関(WHO)の「3段階除痛ラダー」という優れた標準治療があります。痛みが軽い時は抗炎症または解熱鎮痛薬の服用だけで和らぎますが、より強くなると医療用麻薬かその類似薬の併用が必要です。麻薬と聞くと中毒や依存性があると誤解されがちですが、医師の処方通り服用する限りそのようなことはありませんのでご安心ください。 
医療用麻薬は、効果が一日中持続するよう決まった時間に服用する徐放製剤と、不規則な痛みに備え頓服する速放製剤(レスキュー)を併用するのが原則です。レスキューの頻用は体に悪いとの思い込みから、痛みがよほど強くなるまで我慢してしまう患者さんがおられますが、大事なのは痛みの出始めで飲むことです。強くなってからの服用では痛みと薬効のピークがずれるので、鎮痛効果がなく眠気や吐き気など副作用ばかり出るように感じてしまうのです。痛みを自分でコントロールするためには、早めのレスキュー服用で先手を打つ、そんな姿勢が大切です。
びりびりと電気が走るような痛みに対しては、さらに何種類かの鎮痛補助薬(神経の興奮性を鎮めるような薬)を併用します。また痛みの原因によっては放射線治療や神経ブロックが適応となることもあり、患者さんのご希望や病状に応じて決定します。 次回は痛み以外の症状についてお話します。
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緩和ケア科主任部長 塚原 悦子先生
日本ペインクリニック学会認定専門医 日本緩和医療学会暫定指導医 日本麻酔学会麻酔指導医
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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