社会不安障害 平成20年8月1日15日合併号
例えば人前でのスピーチを控え、「少し緊張する」のは誰にでもあることです。ところが、準備する段階から、失敗して信用を失うのでは、恥ずかしい思いをするのではなどマイナスイメージばかりを考えプレッシャーを感じて苦しんだり、マイクの前で震えが止まらず、声もうわずり続けられなくなってしまうことはないでしょうか。
あるいは、人との食事、書字、初対面や偉い人の相手をするのに、強い困難を感じている方はおられないでしょうか。このように、対人・社交場面で他人からの注目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、動悸、吐き気、ほてり、声や手足の震えなどの身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障を来すことを、社会不安障害といいます。我々には、皆が平気に人前で自己主張をしているように映るアメリカでの調査でも7~8人に1人がこの病気で悩んでいるというデータもあり、決してまれな病気ではありません。思春期前から成人早期にかけて発症することが多く、放っておくと、うつ病やアルコール依存症などを合併することもあります。
詳しいことはまだ分かっていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスの崩れが原因の一つと考えられており、薬物療法や認知行動療法などの治療が有効とされています。単なる内気や恥ずかしがりと片付けずに一度近くの精神科・心療内科で相談されることをおすすめします。
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