気分の障害~躁(そう)とうつ~ 平成19年11月15日号

 私たちは日常生活の中で、喜びや悲しみ、楽しみ、怒り、充実感、むなしさ、罪悪感など、さまざまな感情を経験します。場面や状況によって気分が変化するのは自然なことで、深い悲しみや怒りを経験した後でも、あるいはうれしさのあまり興奮してしまった後でも、通常は元々備わっている回復力によって、時間とともに平穏な気分に戻ります。しかし気分を平穏に戻そうとする脳の働きが崩れると、うつ状態や躁状態といった気分の障害が出現します。
 うつ状態とは何週間も気分の落ち込みが続き、体のだるさや食欲低下、不眠を伴い、悲観的な考えが頭の中を占領して仕事や家事、趣味も手に付かなくなるなど日常生活に大きな支障を来たす状態です。一方、躁状態とは何日も続けて気分が異常に高まり、眠らなくても疲れを感じず、精力的に活動。多弁で早口になり何時間も話し込んだり、考えが次々に浮かんで自分が特別な素晴らしい人間だと感じ、不必要な高価な買い物や、失敗することが明らかな商売を始めたりします。時には急に怒ったり攻撃的になるなど、周囲の人を困らせてしまう状態です。
 両極端な2つの状態は、どちらも脳内の情報伝達を担う神経伝達物質の機能異常が原因と考えられており、放置すると悪化することもありますが、適切な治療によって改善可能です。ただし躁状態は本人に異常が感じられないことも多く、注意が必要です。

診特定医療法人 三上会 総合病院 東香里病院
枚方市東香里1-24-34 TEL072-853-0501
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