「文化財的な遊園地」〜ひらかたパーク開園100周年を迎えて〜
枚方市の遊園地「ひらかたパーク」の真ん前にある、喫茶店「せいげつ」を経営する細川信夫さん(85歳)は、生まれた時から、ここで暮らしています。6日で開園100周年を迎えた同パークの取材で、細川さんから、昔の話を聞くために同店にうかがいました。
同パークは、1912年に菊人形展の会場として開園しました。「農繁期を終えた農家の人たちが、電車に乗って押し寄せてね。駅からずっと行列で。出店もあって、すごいにぎわいだったよ」と、細川さん。
すると、隣の席で、お茶を飲んでいた2人の女性が、「花魁(おいらん)道中をしたことがあってね。すごい人だったのを覚えてるわ」「劇場が火事になった時、火と煙が外の通りからも見えて、大騒ぎだったわねえ」と、途中から取材に参加。大いに盛り上がりました。
「せいげつ」には、こうして古くから同パークを知っている人が集まって、昔話に花を咲かせているそうです。
私も子どもの頃、本当によく遊園地に行きました。兵庫県出身なので、よく行ったのは、同県宝塚市の「宝塚ファミリーランド」や神戸市中央区の「神戸ポートピアランド」でした。けれど、この2つの遊園地は、2003年と06年に、それぞれ閉園してしまいました。
少子化や不況などで、遊園地の人気が昔ほどでなくなり、入場者数が減少したのが主な原因です。大人になって、遊びに行くことがなくなっても、楽しかった思い出の詰まった場所がなくなるというのは、仕方ないとはいえ、寂しいものです。
その点、同パークは、めでたく100歳を迎えました。記念企画「ひらかたの秋 菊人形祭」の内覧会で、枚方市の竹内脩市長は、同パークのことを、「文化財的施設で、貴重な観光資源」と表現されていましたが、本当にその通りだと思いま
す。
「100年と言えば、子ども5世代分ですからね」と金沢一徳園長(40歳)。
私が生まれるずっと前から、多くの人たちを楽しませてきた同パーク。100年分のたくさんの人たちの思い出とともに、末永く続いてほしいと思います。