心因性視力障害 平成20年6月1日号
新しい学年が始まり、学校から視力低下の通知をもらってきたお子さんも多いようです。年々、近視の始まる年齢が低年齢化してきていますが、視力が低下するのは近視のためばかりではありません。
◎小学2年生のAちゃん。学校の身体検査で視力低下を指摘され、来院されました。確かに視力は左右共0・2しか見えていない。でも、おかしいなぁ。つい3か月前に受診した時は、1・2見えていたのに。よくよくお母さんに話を聞いてみると、新しい学年になって友だち関係でちょっと悩みがあるらしいとのこと。「大丈夫、そのうちまた見えるようになってくると思うよ」と元気づけ経過を見ていると、学校へ行くのが楽しくなるにつれ、視力も元通り回復しました。
◎小学1年のB君。目の異常はどこにも無いのに、いくら眼鏡で矯正しても視力が出ません。隣にいるお母さんは、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いていて、B君にはあまり構ってあげられない様子。「目の良くなる目薬を毎日お母さんにさしてもらおうね」と、涙の代わりの目薬を渡して暗示療法を試みると、徐々に視力は戻ってきました。お母さんとのスキンシップが効を奏したのでしょう。
このように、心の問題から視力が低下することも、小さなお子さんにはよくあることです。大切なのは、本人が見えにくいと嘘をついているわけではないということ、何らかの心のストレスを抱えている場合が多いこと、周囲がその原因を読み取って見守っていく必要があるということです。
きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
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