遺伝性の目の病気 平成19年12月1日号

 高血圧や糖尿病などさまざまな病気が遺伝と関係があるように、目の病気にも遺伝性の認められるものはたくさんあります。
 例えば屈折異常。お父さんやお母さんが近視や遠視だと、その子どもも同じように近視や遠視になることが多いです。斜視の中でも、間欠性外斜視(いつもはまっすぐ前を向いている目が、時々片方だけ外側を向くもの)と呼ばれるものは、遺伝しやすいといわれています。よく知られているところでは、色覚異常も遺伝による病気です。これは、X染色体劣性遺伝という形式を取るため、ほとんどが男性に見られます。女性は、遺伝子は持っているけれども症状が出ない保因者となることが多いのです。
 そのほか、先天性白内障、一部の緑内障、網膜色素変性症という病気にも遺伝性が認められています。網膜色素変性症とは、視野が周辺から徐々に狭くなって、進行すると中心の視野だけ残すようになり、さらに進むと失明することもある病気です。多くの場合、20歳くらいまでに、まず夜盲を自覚するようになります。
 遺伝子診断とは、遺伝子を調べることによって、特定の遺伝子で発症することが分かっている病気に将来かかるかどうかを予測するものです。また、これらの遺伝子を操作することにより、その病気を予防したり治療したりすることが現在模索されています。遺伝性の病気は、治療が難しいものも多いのですが、これらの研究によって将来治療可能になることを、心から願います。


きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
枚方市中宮西之町15-18-101 TEL072-890-2929

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