星降る丘から健康便り:高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防

摂食嚥下障害看護 認定看護師 長谷川 有美子さん

ご高齢になり噛む力が低下して、固い物が噛めない、よくむせる、口の中が乾燥する、滑舌が悪くなるといった症状を抱えている方々がいます。「オーラルフレイル」といい、口腔内の衰えのことで「老化の始まり」のサインといわれます。
これを放置すると食事摂取が進まない⇩必要な栄養が体内に取り入れられない⇩全身の筋肉や心身の活力の衰え⇩要介護状態となるリスクが高まります。
全身の筋肉が衰えると、嚥下(えんげ)機能も衰えて誤嚥に繋がります。誤嚥(ごえん)とは食べ物や飲み物などが食道ではなく気管に入ってしまうことです。その時に口の中の細菌が気管や肺に流れ込み、肺炎を起こすことを誤嚥性肺炎といいます。
誤嚥性肺炎を起こさないためにはオーラルフレイルにならない、また、嚥下機能を落とさないために、のどを鍛える訓練も有効です。
のどを鍛える訓練は①頭部挙上訓練です。仰向けになり肩を床につけた状態で頭のみを挙げたまま足先を見る。1分間の挙上と1分間の休憩を1セットとして、1日3セット行いましょう。②おでこ体操です。額に手を当て抵抗を加え、おへそをのぞき込み、ゆっくり5つ数える。食前や時間がある時に行いましょう。
同時に口腔内の衛生を保つことも重要です。食べる前後、寝る前の歯磨きをしっかり行いましょう。オーラルフレイル予防にはバランスの取れた食事をよく噛んで食べること、かかりつけの歯科を持ち定期的な検診を受け、口腔内の異常の早期発見・改善に努めましょう。