枚方公済病院シリーズ:高齢者の不穏(ふおん)

突然に感情が高ぶって攻撃的になる、不穏と呼ばれる状況があります。理解や表現が難しくなってきた高齢者にしばしばある状況で、周囲は対応に困ることが多いです。
苦痛・不満・不安などのストレスに対する反応であることが多いので、まずは本人のストレスを評価して取り除くことが大事です。何らかの病気による痛み・倦怠感・呼吸困難などによる苦痛、いつもと異なる環境で勝手が効かないことへの不満、状況を理解できていないことや周囲の人とコミュニケーションが取れないことに対する不安などがよくある原因です。  解決するには周囲の人が本人にストレスを与えずに、話をよく聞いて理解を示すことが大切です。過剰なストレスのために理解力が低下したり、妄想を伴うことがあり(せん妄)、鎮静作用のある投薬が必要なことがあります。また、病気の症状が悪化した時に、それをうまく表現できなくて不穏になることがあるので注意が必要です。
不穏は、高齢者が入院治療になった時には、病気による苦痛と突然の環境の変化に伴ってよく起こる状況ですが、日常でも起こり得ます。
不穏の解決は難しいですが、関わる人が状況をよく理解して、冷静に協力して対応できればと思います。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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