おもろいんやで歴史漫談:枚方で即位した謎多き天皇


枚方で即位した謎多き天皇




考古学研究家 植田正幸




 枚方市楠葉丘、住宅地の真ん中に交野天神社があり、境内を奥に進むと貴船神社の末社があります。ここは枚方八景の一つ、
「樟葉宮跡の杜」で、謎の大王「継体天皇」が即位した場所です。
 継体天皇は近江高島郷にある三尾野の彦主人王の子で、応神天皇5世の孫(ひ孫の孫)にあたるとされています。父君早世後、母振姫の故郷である越前三国(福井県)に移りオオドノオウとして地盤を築いていたようです。
 そこに大和王権から天皇即位への誘いがあり大伴金村などの使者が訪れます。当初策略かとの疑念を持ちますが、顔見知りの河内馬飼首荒籠に真意を確かめ、天皇となる決心を固め、樟葉宮で即位しました。
 即位後も大和には入らず筒城宮(京田辺市)、弟国宮(長岡京市)でおよそ20年を過ごし、奈良県桜井市にある磐余玉穂宮に遷宮。この玉穂宮の場所も謎でしたが、磐余池付近で6世紀前半の大壁建物という渡来系氏族の先進的な住居などが確認され、ほぼ特定された感があります。
 継体天皇の陵墓、高槻市今城塚古墳の発掘調査で出土した円筒埴輪には、マストのある船の線刻画が見られます。楠葉から船橋辺りにあった港湾施設「肩野津」に係留していた、軍船を描いたのではないでしょうか。「淀川の大王」ともいわれた継体天皇も、私と同様に淀川沿いをそぞろ歩きしていたのかもしれせんね。







考古学研究家 植田正幸
埋蔵文化財発掘調査担当を経て、考古学・歴史講座を行う。 考古学・古代史探訪サークル顧問・専任講師 「生涯青春塾」北河内歴史講座を担