色の見え方 平成18年5月1日号
人間にはそれぞれ個人差がありますが、色の見え方にも人によって違いがあります。
すべての色は、光の3原色といわれる赤、緑、青の3つの光の組み合わせで作られていますが、人によっては、それらの色を感じ取る視細胞の量が少なかったり、十分に機能しない場合があるのです。
一番頻度の多いのは、赤緑異常といって、赤と緑が判別しにくいケースです。決してまれなものではなく、男性では20人に1人、女性では500人に1人が、これに相当します。伴性劣性遺伝という遺伝形式をとるために、男性が圧倒的に多いのです。
具体的には、緑の木々の中の赤い実が分かりにくい、熟れたトマトとまだ緑色のトマトを区別しにくい、黒板に書かれた赤や緑、青の色チョークの文字が見えにくい、鉄道路線図を一目で見分ける事が難しい、などです。
ここで、大切なのは、たとえ異常があっても全く色が分からないのではなく、異常の程度も人によって異なり、日常生活には支障がない場合がほとんどだという事です。
大抵の場合、運転免許も問題なく取得できますし、電車の運転士やパイロット、印刷業、カラーコーディネーターといった色覚で適性が決まる特殊な職種を除いて、制度的な障害はほとんどなくなってきています。
色覚異常は残念ながら治療する事はできませんが、本人の特性の一つと考え、指導・ケアに当たっていく事、色覚異常の人にとっても暮らしやすい社会となるように環境整備を行っていく事こそが大切だと考えます。
きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
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