枚方公済病院シリーズ:尿閉
膀胱から尿が出せなくなる状態を「尿閉」といい、突然尿が出なくなって救急外来を受診される方がおられます。
通常は膀胱に200~400mlの尿がたまると尿意が起こって排尿しますが、尿閉になるとそれ以上に膀胱に尿がたまって内圧が上がって下腹部に痛みや苦しみを自覚するようになります。
下腹部が膨隆してきてエコーで過膨張した膀胱が確認されれば診断がつきます。少量ずつ排尿する形で定常状態になって、尿漏れや頻尿の症状が出ながら慢性化する場合もあります。
合併症として細菌が繁殖して尿路感染を起こしたり、腎臓に圧力がかかって腎不全を起こして重症化する場合があります。
治療としては尿道から膀胱まで管を入れて排尿を実施(導尿)します。
尿閉の原因としては腫瘍を含む膀胱・前立腺・尿道疾患、尿路出血による血腫形成、直腸内の宿便による尿路の圧迫、投薬の副作用、脳・脊髄疾患による膀胱の生理機能の悪化などがあり、それぞれに対して必要な治療が検討されます。
尿が出なくなった時には、腎臓の障害で尿が作れなくなった状態(急性腎不全)が原因のこともあり、早急な対応が必要なことがあります。医療機関を早めに受診ください。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科
枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
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