枚方・交野発 「つつした」で思いを紡(つむ)ぐ

樋口メリヤス工業(株)・中江優子さん


枚方・津田に一人の母として家庭を支えつつ、会社を背負い、頑張っている人がいます。「一人ひとりの足の形だけでなく、使う人の心にも寄り添う靴下を」と商品を作り続けてきた樋口メリヤス工業株式会社(枚方市春日)代表取締役・中江優子さん。

15年前に祖父の代から続く会社を譲り受けましたが、多くの負債を抱えた状態でした。会社を畳んだ方が楽、しかし引き継いだ会社の歴史を閉じたくない、当時小学生の2人の子どもに自分が挑戦する姿を見せたい、お客様に迷惑をかけたくないとの思いで、再起に臨みました。

そんな中、中江さんはわが子の通う小学校で子どものドッジボールチームを立ち上げ、4年で全国レベルの大会で優勝するほどに。そのチームでデザインした靴下を制作したことをきっかけに、メッセージ入りの靴下を受注・販売すると話題に。全国から問い合わせも相次ぎ「一足から」の注文も受け、様々の要望にも応えてきました。「障がいを持つ人が自分で履け、自立できるように」、「傷みむくんだ足になってしまった、病床の家族へ贈るために」と、靴下づくりを続けてきました。

店舗の奥では一針一針くつ下が 編み上がる様子を見学できます



そして、さらに中江さんは試行錯誤を重ね、かかとをなくした筒状の靴下「つつした」を開発。改良を重ね、きつ過ぎずフィットするように編み方、糸の太さを工夫し、肌に触れる内側は天然素材を使用。かかとがないからこそ足に沿う靴下で、履き心地は抜群と好評を得ています。

製造直販店の工場では今も、先代からの機械が大切に使われています。使い捨てではない、ものを大切にしてもらいたい、次世代に少しでもよい環境を残したい。「つつした」にそんな思いを込め、中江さんの挑戦は続きます。

つつした製造直営 TUTUSHITA LABO
交野市倉治4-35-23
TEL 072-892-1022

 

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