慢性腎臓病CKD 5 平成22年12月1日号
今回は、CKDの治療についてお話します。CKDと診断された場合でも、すぐに腎不全=血液透析が必要になるとは限りません。息切れや倦怠感、体のむくみ、食欲不振といった自覚症状のない軽症の患者さんは、適切な生活指導と治療により、腎不全への進行を遅らせたり食い止めたりすることも可能です。もちろん遺伝性の腎臓病や、腎臓自体の特殊な病気のある方は専門医による特別な治療が必要ですが、一般的なCKD治療の基本は「生活習慣の改善」と「食事療法」になります。
生活習慣の改善は、肥満や喫煙がCKD発症のリスクファクターとなることから、肥満の解消や禁煙がCKDの治療だけでなく、予防にも有効です。
また、食事療法の基本は、減塩とタンパク質制限です。CKD患者さんの場合、塩分の過剰摂取は高血圧の発症、あるいは悪化により、さらに腎機能の低下を招くだけでなく、余分な塩分が体にたまることで、むくみや心不全の原因となる可能性もあります。一日の塩分摂取量は6~8g以下となるように心がけましょう。また、タンパク質制限もCKDの進行を抑制します。ただし、このような食事制限は、ほかの栄養素とのバランスが重要なため、できれば栄養士の指導のもとに行うべきです。
CKDと診断された方は、一度かかりつけの医師にご相談されることをお勧めします。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641