副腎の病気3ー原発性アルドステロン症ー 平成22年6月1日号

 今回は原発性アルドステロン症についてお話します。この病気は副腎疾患により二次的に起こる高血圧症の代表的なものです。副腎皮質という副腎の外側の部分から、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで、難治性の高血圧を引き起こします。30~50歳代の方に多く、その原因の90%以上は副腎に発生したアルドステロン産生腫瘍と、両側の副腎過形成(副腎の組織が過剰に増殖すること)による特発性アルドステロン症という2つの疾患で占められますが、まれに副腎がんや家族性アルドステロン症という疾患が原因となることもあります。 以前は高血圧症患者さんの0.5%程度の方が、この病気によるものとされてきましたが、診断技術の進歩により、現在では6~18%程度と、高血圧症の原因として非常に頻度の高い疾患と考えられています。
 この病気の怖いところは難治性の高血圧だけでなく、アルドステロンというホルモンが直接、脳心血管系に悪影響を及ぼし、臓器障害を引き起こすことです。ゆえに早期発見・早期治療が重要となります。治療は高血圧、低カリウム血症の改善とともに脳心血管系合併症の予防が重要であり、そのためにはアルドステロン産生腫瘍に対しては腹腔鏡下副腎摘除術が、また、特発性アルドステロン症に対しては薬物療法が一般に選択されます。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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