副腎の病気1 平成22年4月1日号
これまで腎臓の疾患、特に腎臓の腫瘍についてお話してきましたが、少し、脇道にそれてみたいと思います。
「泌尿器」とは一体何を意味する言葉かご存知でしょうか?はっきりとした語源は分かりませんが個人的には、これは内分泌器官、腎尿路、前立腺などの(男性)生殖器から来ており、これらの臓器に関連した病気を扱うのがわれわれ泌尿器科医だと思っています。
この中の内分泌器官とは、体の色々な機能の調節を行うホルモンを分泌する器官で、このうち、泌尿器科で扱うものに副腎があります。副腎は男女を問わず左右一つずつ、腎臓の頭の所に乗っかるようにある臓器で、ここから出されるホルモンは主に4種類あり、中には腎臓を介して、血圧調節や体内のミネラル分の調整などを行うものもあるので、腎臓と関連の深い臓器と言えます。
あまり聞き慣れない方もおられるようで、患者さんに「…あなたの右の副腎にできものが…」と言っても、「…ん?」という顔をされる方もいらっしゃいます。しかし、この副腎から出されるホルモンを合成したステロイドという薬は、湿疹の時に使う軟膏からリウマチなどの膠原病の治療、アレルギーの治療、さらには臓器移植での拒絶反応の治療
等々、非常に幅広い領域で使用されて、逆に言えば、それだけ重要な臓器だと言えます。そこで次回から、この副腎の病気についてお話したいと思います。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641