腎がんと鑑別を要する病気2 AML 平成22年2月1日号
前回に続いて腎がんと間違えやすい病気についてのお話です。
腎臓にできる腫瘍には良性のものもあり、代表的なものが腎血管筋脂肪腫と呼ばれるものです。この腫瘍は、その名の通り血管と筋肉と脂肪の3つの成分でできており、長い英語名の頭文字を取り、AML(エーエムエル)と呼んでいます。
腎腫瘍全体に占める割合は1~2%程度ですが、腎がんと間違えやすい良性疾患の中では、頻度の高いものと言えます。男性より女性に多い病気で(男女比は1対3くらい)、特に結節性硬化症という珍しい病気に合併しやすいことが知られています。
症状としては血尿や痛みが主ですが、最近は健診などの超音波検査で偶然見付かるケースが増えています。時に腎がんとの鑑別が重要で、CTやMRIといった検査が有用ですが、中には腎がんとの区別がつかず、手術で摘出して初めて診断されることもあります。AMLと診断された場合、小さい腫瘍の場合は経過観察で良いことがほとんどですが、大きいものになると腎臓の外まで広がっていることもあり、注意が必要です。一般には直径4を超えるものは、腫瘍内部で出血や破裂する危険があるため、腫瘍の血流を遮断する動脈塞栓術(そくせんじゅつ)や部分切除術を行うことが必要です。特に突然破裂した場合は、ショック状態となったり、場合によっては生命の危険まで出てくることもあるため、良性腫瘍とはいえ、専門医による適切な治療が不可欠です。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641