「ピンポン玉」となすび4 平成20年10月1日号
色々と工夫されてきた骨盤底弛緩症に対する手術方法の内で、現在最も有効性が期待されるものは、TVMという手術方法です。これは簡単に言うと、骨盤底の弱くなった部分に、合成線維を網目状に編んで作ったメッシュを当てて補強する方法です。 人間の体の弱くなった部分にメッシュを当てる術式は決して新しい発想ではなく、ソケイヘルニア(いわゆる脱腸)に対しては何年も前から行われています。TVMには該当する日本語訳がまだ決まっていないので、その内容を具体的に想像することは難しいと思われます。
要点だけを述べると、膀胱瘤に対しては、膣の前側の壁を5~7㎝ほど切開し、膀胱との間を剥離します。次いで足の付け根の辺りの皮膚を1.5㎝程度左右2か所ずつ切開します。あとは特殊な針と糸を用いてメッシュを膀胱と膣の間に挟むように挿入するだけです。 弱くなった組織ではなくメッシュで膀胱を支えるところが、従来の術式と比べて優れているところです。私自身の経験でも、従来の方法よりも良い結果が得られているように思います。
膀胱瘤以外の骨盤底弛緩症である直腸瘤や子宮脱の場合も、切開部位や剥離する場所は少し異なりますが、基本的には同じような手技で行います。
北京オリンピックで卓球の愛ちゃんは、奮闘むなしくメダルに手が届きませんでした。愛ちゃんには次のロンドン目指してこれからも頑張ってもらわなくてはいけませんが、皆さんはこの機会にそろそろピンポン玉にさよならをしませんか?
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641