「ピンポン玉」となすび2 平成20年7月1日号
前回は骨盤底の組織が緩くなった結果、膀胱が膣から飛び出す状態を「膀胱瘤」と呼び、多くの方が「ピンポン玉が挟まったような感じがする」と訴えることを話しました。では、「なすび」とは?
実はこれは、この領域の治療を熱心に行っている親しい女医さんに教えていただいたのですが、彼女の故郷のお年寄りたちは、このようにして飛び出た膀胱を「なすび」と呼んでいるそうなのです。確かに膀胱瘤の患者さんはピンポンという外来語ができる以前から存在したわけだから、純和風(?)の呼び方があってしかるべきですね。
さて、膀胱瘤をそのまま放っておくと、どうなるのでしょうか。多くの場合、膀胱の飛び出す程度が徐々にひどくなります。やがて、膣の違和感だけでなく、尿が出にくくなったり、飛び出した膣粘膜に慢性的な炎症が生じるなど、体に害を及ぼすようになります。さらに進行すると、腎臓の障害が生じることもあります。
軽症のうちは膣の不快感だけであることから、年を取れば仕方がない、あるいは当然というあきらめや思い込みの結果、大部分の方がなかなか医療機関を受診されないようです。症状が強くなってからでも、しものことなのでどうしても受診しづらいようですね。
一方、医療者側も従来はあまり熱心にこの病気に取り組んできませんでした。というのは、この病気を治す良い方法が無かったからなのです。しかし、最近大変優れた方法が開発されました。
次回は、膀胱瘤の治療についてお話します。
泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641