物忘れ 平成21年3月15日号
中年以降になると誰でも物忘れが多くなってきます。人の名前を思い出せなくなったり、物の置き場所を忘れてしまったりすると、ぼけてしまったのではないかと心配になります。しかし、物忘れの多くは正常な老化現象によるもので、知能や精神機能が低下する認知症とは異なります。よく言われるように、物忘れを自覚できている間は認知症の心配はほとんどありません。認知症では物忘れの自覚そのものがなくなってしまいます。また、貴重品をどこにしまったとか、薬を飲んだかとか、人の名前が出てこないなどは加齢に伴い、よくあることですが、認知症では、今見たものが何だったのか思い出せません。普通、ヒントを与えられると思い出すことが多いのですが、認知症ではそれでも思い出せません。
しかし急速に物忘れがひどくなってきたという場合には、慢性硬膜下血腫や脳腫瘍などを疑わなくてはなりません。また、高齢者になるとうつ病や神経症にかかる割合が多くなります。これらの病気では、集中力や判断力が低下するために物忘れが目立つようになります。また、常用している薬によっても物忘れの原因となることがあります。これらの物忘れは治療により治る可能性のある物忘れであって、一般に認知症と言われる物忘れとは異なります。
最近、物忘れが目立ってきたようなら、受診されることをお薦めします。
診特定医療法人 三上会 総合病院 東香里病院
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