うつになる自分に対する誇り 平成18年1月15日号
ある調査によると一生のうちにうつと診断される人が占める割合はおおよそ15%。また現在うつで治療を受け ている方はおおよそ3%しかいないとされます。うつを恥じるべき事と思い、治療を受けていない方が多数いる状況が推測できます。
常識やルール、法律は人々が公平に扱われ、円滑に生活するためには必要ですが、それらに一番の重きを置いては「内面」「心」が大切にされず「体裁」「世間体」ばかりが重んじられる事にもなりかねません。
見方を変えれば、前代未聞の凶悪犯罪が生じる「心のない」現代社会の方が問題であり、うつになる方は「心がある」がゆえに現代社会に適応しづらいと言えます。心の美しさこそ重視すべきで、数多くの聖人が残された「人を愛すること、自分よりも人のために」という言葉が一度見直されるべきではないでしょうか。
「(こんな世の中だからこそ)周囲にどう思われようとも、自分らしくでいいんだ、自分が明らかに正しいと思う事を曲げないんだ」と徐々にでも思える事や、世の中で楽しいとされるあらゆる事にも無価値感を抱く中で、周囲の人たちの愛に支えられ回復される体験から「この世で最も大事なものは他者に対する愛や思いやりである」と薄々でも実感できる事が、治癒過程において私は薬効よりも重要だと思います。
うつで悩んでいる皆さん、どうかうつになる自分の「汚れない心」に誇りを持ってください。
診特定医療法人 三上会 総合病院 東香里病院
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