角膜の病気 平成19年11月1日号

 「目にものが入って、涙がボロボロ」という経験はありませんか?目は大変知覚が発達しているため、わずかな異物にも過剰に反応するのです。外からの侵入物に弱い、大変敏感な組織と言えます。
 黒目の表面は、角膜という厚さわずか0.5ミリほどの透明な膜でできていて、何層もの細胞が層状に並び、外気から直接酸素を取り込んでいます。また、一番外側の細胞はしっかりと固く結合していて、異物の侵入を防いでいます。何らかの原因で角膜に傷ができると、細胞は増殖し、傷付いた部分を修復しようとします。ただし、傷が治り切るまでに、細菌などに感染してしまうと、痛みがずっと続き、透明のはずの角膜が白く濁ってしまいます。
 角膜の感染症にはいろいろありますが、中でも注目すべきなのが、アメーバ性角膜炎と、ヘルペス性角膜炎でしょう。アメーバ性角膜炎は、不適切なコンタクトレンズの装用によって生じる大変重篤な病気です。激しい痛みを伴い、薬が効きにくく、視力障害を残すこともあります。ヘルペス性角膜炎は、疲れやストレスが引き金になり、繰り返し再発する角膜炎で、何かとストレスの多い現代社会の産物とも言えるでしょう。
 不幸にして角膜が濁ってしまった場合、多くは元には戻りません。角膜移植が必要となる場合もあります。角膜移植は、移植治療の中でも大変歴史が長く成功率も高い手術です。しかし、残念ながら国内では十分な角膜が提供できておらず、一部海外に頼っているのが現状です。そのため、人工角膜の研究も盛んに行われています。


きたの眼科:北野保子院長
診療所では、場合により在宅医療、往診にも対応。電話予約、電話相談にも応じる。星ヶ丘厚生年金病院、そのほかの病院との病診連携を行っている。
枚方市中宮西之町15-18-101 TEL072-890-2929

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